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名越の神楽

2000/11/23, 12/24補充

 2000/11/05 鳳来町ふれあいフェスティバルで、「名越の神楽」を、その中でも有名な、「くずの葉子別れ」みることができました。  

<左の写真は囃子や謡のみなさん>
 名越神楽の歴史は古いものだったようです。一時とだえて獅子頭2個だけが残っていたので、明治初めに地元有志が氏神様へ奉納しようと小坂井の神楽を作手の師匠に教えてもらったようです。
 しかし、覚えるまでには、相当の苦労があったようで、奥山半僧坊へ交代で日参してがんばったというお話があります。

 現在は、氏神六社神社の例大祭に奉納されるそうです。このお祭りではこのほか、徳運寺・新築の家の前・公民館で悪魔払いや上演があるそうです。
 奉納神楽が余興化して、歌舞伎の演目もあり、たくさんの外題があるようです。
 その中でも、この「くずの葉子別れ」は有名です。

 

<右の写真はくわえた筆で書き始めたところ>
 (あらすじは一番下にあります。)
 神楽踊りの後、白狐の葛の葉が、子供を両手で背負いながら獅子頭にくわえた筆で、4本の障子に別れの漢詩と和歌を書いてゆきます。
 霊狐が書く文字なので、裏返しや下から書いた文字があり、これを舞台で一気にやる氏子の方の芸能は感動ものです。

<下の写真が書き終わった障子>


 一自恩承後  長重比翼襖
 今愁人界別  亦至信田森
   恋しくば  尋ね来てみよ
   和泉なる  信田の森の   
   うらみ  葛の葉    
 
「葛の葉子別れ」のあらすじ

  の死を嘆いて狂気した武将、阿部保名 (あべのやすな)は、 と瓜二つの妹の葛の葉 の花見姿を見て心も静まり、二人の間に新たな恋が芽生えた。その時、狐狩りに追われた命の危ない白狐 を助け、狐狩りの悪者と戦って負傷した。そこへ、この騒動から逃げ去ったと思った葛の葉 が現れて保名 を介抱した。保名その女 に誘われて阿倍野に隠れ住むこと六年、今は数え年五歳になる童子 がある。
 然るにある日、亡妻の親信田庄司夫妻 が、保名 を慕って止まない妹娘の葛の葉 をつれて阿倍野へ尋ねてきた。保名 も驚いたが、それにもまして驚き悲しんだのは童子の母 である。もう、葛の葉 の姿を借りているわけには行かない。そこで眠りこけている童子 に名残を惜しみつつ、五言絶句一遍と和歌一首を障子に書き残して姿を消した。




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